私が起きた時、もう日は高くのぼっていて、もちろん隣には馬超さんは居なかった。




*はじまりの決意*







あれからしばらく考えた。
私が居るのはやはり三国時代のようで。
本物の三国時代か、はたまた三国無双の世界かはまだ解らずじまいだけれど。

結局、二人はあまり私の事は聞いてこなかった。
複雑な事情がある。そう悟ってくれたのかもしれない。
ありがたいことだ。
ただ、王蒼(私の乗ってきた黒馬の名前だそうだ)に連れられて日本という国からやって来て、
帰り方が解らない。それだけ伝えておいた。





そうそう、後から馬超さんに聞いた話だけれども、
王蒼は馬超さんの馬らしい。
いや、馬超さんの馬だった、と言った方が正しいかもしれない。



『王蒼はその昔・・・と言っても十年ほど前か。
俺の元からふらりと姿を消したのだ。
大層かわいがっていてな、居なくなってしばらく、俺は立ち直れなかったな。』


馬超さんはそう語ってくれた。
馬岱さんに「あの時従兄上、大泣きしてましたもんね。」
と言われて焦っていたのを覚えている。

馬超さんは、はじめの印象こそ仏頂面で怖かったけど、
接しているうちに意外とかわいい人だということが解った。
うん、妄想・・・いや、想像通りでよかった。



話を戻して、結局私は王蒼に連れてこられてトリップしたということだけれど。
だったら、王蒼に乗ったらまた元の世界に戻れるのかな。
でも、私はまだ馬にも乗れない。此方に来たときのような無様な格好は御免だ。
また今度、馬超さんに馬の乗り方を教えてもらおうと思う。
でも、それはまだ、だ。

雨に打たれて気を失っていた私を、放っておかず看病してくれたのは馬超さんだ。
あのままでいたら、まだ医学の進歩していない時代だ。死んでいたかもしれない。
そんな恩人に何もしないで帰れようか。
何か、恩返しをしたい。

馬超さんは私を此処に置いてくれると言った。
置いてもらうということも大変な迷惑なのだが。
この世界では何も無い私だ。
少しこちらにお邪魔させてもらって、恩返しの方法を考えようと思う。
帰るのは、馬の乗り方を教えてもらうのはそれから。












は手帳をパタンと閉じた。
向こうから持ってきたのは手帳とペン一本。
丁度服のポケットに入れていたのだ。
服と一緒に渡してもらった。
雨に濡れて中の紙はビロビロになってしまっているけれど。
貴重な所持品だ。

コレを期に、日記はちょくちょくつけようと思う。








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間章みたいな。

ばちょんは可愛いと思う。




08.04.15