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我は、今しか力は貸してやらんぞ。
今、決めるのだ。
お主は、元の世界へ帰りたいか?
*決断の時*
蒼馬との間には一陣の風も寄せ付けないような、
そんな張り詰めた空気だった。
いや、張り詰めていたのは自分だけかもしれない。
私は元の世界へ帰るべきだということは、頭では理解していた。
この世界は、私のいるべき世界ではない。
馬超さんにも、出て行けと言われてしまった。
生きる術など、ない。
・・・・でも。
でも。
本当にそれで、いいの?
「私・・・帰ります。」
馬超は王蒼の背に乗せられて森の奥へ来ていた。
辺りは真っ暗で、何も見えないことがもどかしい。
の無事を願い、また、会ったら何を言おうか、
頭の中は彼女の事でぐるぐる回っていた。
「王蒼、まだなのか!?」
馬超はたまらず王蒼に問う。
「もう直ぐだって馬超様!そんなに腹を蹴らなくったって急いでいます!」
その後は「ボクだってちゃんのことが心配なんですから!」と続く。
そんな彼らのやりとりは何回目だろうか。
「そんなこと言ったって気が気じゃないのだ!
お前が何故喋るかなど聞いている暇がないくらいにな。
だから、悪いがもう少し急いで・・・・・ん?」
暗闇の中で何十回目かの、水に濡れた冷たい葉っぱに顔を叩かれた時だった。
ずっと黒しか見えなかったところにぼうっと青白い光が見えた。
それは結構な距離があったのであるが、何せそれ以外に灯がない。
「何だあれは・・・・妖かしか?」
馬超はそれを見て目を細めた。
それに同調するように、王蒼もしばし足を止めてその光を見やる。
「青白い光など・・・どうする王蒼!?」
「・・・・あの光・・・・・もしかして・・・・父さん?」
「何?」
「あの光、なんだか見覚えがある。きっと父さんだ!」
王蒼はそう言って、
きっと人間の顔であれば笑顔になっていただろう雰囲気をかもし出した。
それに反面、馬超は顔をゆがめる。
「お前の父上とは・・・・どういうことだ?」
「ボクの父上は蒼馬なんです。馬超様、蒼馬は知ってますよね?」
「あ、あぁ。時や次元を駆ける妖馬だと聞くが、
それが何故此処に・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか!」
馬超ははっとして手綱と握り締めた。
「うん、きっとちゃんはあそこだよ!」
王蒼も嬉々として体制を立て直す。
「行くぞ王蒼!まだを帰す訳にはいかない!」
馬超と王蒼は再び青い光に向かって駆け出した。
そんな馬超と王蒼が森に来ているなど露知らず、
は蒼馬と対峙していた。
「私・・・帰ります。」
「そうか、賢明だな。」
蒼馬はそう言っての頭に軽く手を置いた。
その時の表情は安心したような、しかし少し哀しそうなものだったのだが、
俯いていたにそれは解らなかった。
「では、我の手を取れ。元の世界へ送ろう。」
蒼馬はの頭から自身の手をどかし、差し出した。
しかし、彼女にその手を取る気配は見られなかった。
蒼馬はしばし眉をひそめる。
「おい、はやく「違います。」
は蒼馬の真っ青な目を見据えた。
ざわつく木の音など、耳に入らない。
彼女の決心は固かった。
「私は、馬超さんの所へ帰ります。」
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やっぱり短め&亀更新申し訳ないです!
・・・・さて、次、最終回なるか?
まだ一話でまとめようか、二話になるかは検討中・・・。
この話のエンディングムービーが作りたい(笑)
08.11.22