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目が覚めたら青い髪の男の人がいて。

私は崖からおちていて。

その男の人は蒼馬という妖怪だというし。

黒馬の王蒼はその息子だというし。


・・・もう、なんなんだってーの。







*混乱の中の真実*








「これらは、ほんの詫びだ。」


混乱する私をほったらかして、どんどん話を進める自称「蒼馬」は
今度は私の腕に手を伸ばした。



え?ちょっ蒼馬に触ったら、その人消えるんじゃ?



はそう思って、焦って蒼馬の手、つまり、自分の腕を見やるが。



え?傷だけが・・・消えた?



腕には、一つだけかすり傷が残っていたのだが、蒼馬が触ると跡形も無く消えた。
自体はもちろん消えずにその場にいる。


「何、存在自体が消えると思ったか?あれは人間が勝手に言っているだけだ。
俺が人を他の次元へ送っているところを見て勘違いしたのだろう。」


どうやら、の考えは顔に出ていたようで、蒼馬はあっさりと答えを口にした。


ポカンとした顔をしたは、まだ岩の壁に持たれてぼーっとしていたが、
至近距離にいた蒼馬はやっと腰を上げた。
蒼馬の青い頭で隠れて見えなかった月が見える。
しかしそれは、淡く光る目の前の男のせいで霞んで見えた。











「ところでお前。王蒼が勝手に連れてきたようだが・・・
今も自分の次元に帰りたいか?」



体を起こした蒼馬の唐突な質問に、まだ頭の回らないはしばし固まる。








・・・自分の世界に帰りたいか・・・?








どうなのだろうか。





自分の事なのに、少し前までははっきりと「今は帰らない」と決めていたのに、
今はすぐに答えることができない。
帰らないとは決めたのだけど、帰りたくないということはないのだ。
叶うなら、今すぐにでも帰って家族や友達に飛びつきたい。
でも・・・






「自分の息子がしたことだ。尻拭いはしてやろう。」


しかし蒼馬は勝手に話を進める。


「我は色んな次元を駆けている故、今しか手をかしてやらぬぞ。」


青白く光る彼は腕組みをしてを見下ろし、
彼女はその威圧的な態度に余計に焦った。


「ちょっと待ってください。少し頭が混乱していて・・・
王蒼はあなたの息子で、彼が私をこの世界へ連れてきたのですよね?」


「そう言っているが。」


は米神に人差し指をそえて、話を整理するように蒼馬に問うた。
蒼馬は面倒そうに答える。


「彼方ではなく、王蒼が私を元の世界へ送ることはできないのですか?」


王蒼ならば。王蒼が私を元の世界へ戻せるのならば。
今、蒼馬に頼らなくても。今帰らなくてもいいのではないか。
この世界へ連れてきたのも王蒼なのだし。できないはずはない。


はそう思ったが、次の蒼馬の言葉に自分の甘さを知る。




「王蒼にはお前を元の世界に送り届けることは無理に等しいだろう。」




の眉間に皺が寄った。


「なぜ。」

「あいつは妖怪である我と、人間の子だ。」

それ故、考え方は人間に近いものがあるし、言葉も喋れる。
今は本当の馬のようにふるまっているようだが。。

そう蒼馬は付け足した。


「え・・・!?蒼馬さんと、人間・・・?」


あぁ、なんだかまたややこしくなって来た。
犬夜●でいう半妖みたいなものか・・・?
母親は人間・・・ってちょっとまて。
王蒼は半分妖怪にしろなんにしろ、見た目は馬ではないか。
人間の腹から馬が生まれるのか・・・?
うぇ、想像したらちょっと気持ち悪い。




「おい、失礼なこと考えて無いか。」

「あ、ははは・・・。」


苦笑いをするに対し、蒼馬は溜息をはいた。


「我の血を引いていると言っておろう。今、我が馬に見えるか?
妖怪が人型に姿を変えるのは容易いことだ。安心しろ。
王蒼も腹から出たときは人型だった。今は馬のほうの形をとっているようだがな。」


・・・え?
王蒼、馬だけでなく、人の形にもなれるの?
聞いてないよそんなの。
見てもいないよ。

って、私の頭ン中読んだよね?今。読んだよね!?


・・・って大分話がそれてる。
王蒼が私を送り届けられない答えを聞いていない。


「王蒼が半分”蒼馬”なら、時を渡る力も受け継いでいますよね?
現に私は王蒼にこの世界へつれてきてもらったし・・・。」

「そうだ。だが、人間との子だと言っただろう。しょせん受け継いだのは半分だ。
あいつの力は知れている。それにあいつはまだ子供だ。
お前を帰すことができるようになるには100年ほどかかるだろうな。
今の力では、・・・そうだな、帰巣本能と言うべきか・・・
生まれたこの世界へ来ることは容易いことなのだが、
この世界ではない、他の世界へ狙いを定めてわたることはあいつにはできまい。」

「・・・?」


解らない顔をするに、蒼馬はまた盛大な溜息を吐く。


「はぁ・・・お前の世界への道を覚えていないということだ。」

「え、何で!」

「世界は無数にある。この我でさえ全てを見ることなど不可能だ。
その中からお前の世界、そしてお前の生きていた時間を探し出すのは、
血を半分しかもたぬあいつには無理なことよ。」

「そんな」

「だから我が届けてやろうと言っているのだ。」




早く決心しろ。

そのような事を言っているように、蒼馬の目は鋭かった。





自分の世界には、帰りたい。

帰りたいが・・・・・。









どうすれば、いい?








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ぬおおおん!!色々忙しくしているうちに、もう一ヶ月近くたってしまいましたorz
またもややっとこさ更新であります。


・・・予想通りの難産&駄文
うまいこと説明ができやしません;;
伝わってたら嬉しいが、無理かなー・・・

とりあえず、今回は王蒼の正体について語りました。
そしてトリップおなじみ、帰るか帰らないか迷う場面です。
どうなることやら。


・・・そしてまた馬超さん空気ww
次は出しますよ!



ってか、なんやかんや言って、もう20話だよ!!!!

08.09.24