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*青と痛みと衝撃と*








痛い



痛い



痛すぎて、どこからが地面で、どこからが自分の身体か解らない。
まるで、自分の神経が地に根を張っているように痛みが広がっている。





痛い?




痛いのは身体?



それとも心?




解らない。





ただ、痛い。






誰かの声が聞こえるけど。




痛みが邪魔をして。





そこにいるのは、


誰?






馬超さん・・・だったらいいのに・・・。





















「―――。―――――――ぃ。――――おい。」


「・・・・?」



気がつけば、身体の痛みはなくなっていて。

自分は何をしていたのだっけ。

どうやら自分は寝転がっているらしく、背中側に重力を感じる。

寝ていたのか?


ぼーっとした頭はそのままに、霞む目をこする。
そして、手を目からのけたとき、ぼやける視界が鮮明になり、
目に飛び込んできたのは。







青い髪、青い目の。








「・・・・・・・・・・え。本当に、誰。」






こういう所、普通はちょっと憧れの男の人とかではないのか?
美形だけど。今から憧れそうだけど。
こんな人見たこともない。
こんなに美形だけれど、無双キャラにはいない。
私がトリップした後の新シリーズでも出たのか?
・・・・いやいや、それはないか。

あぁ、頭がまわらない。



がこんなことを考えていても、
目の前の男はに目だけ合わせて、ピタリとも動かないし声も発しない。

男はの肩辺りに何か手をやっているように見えるが、
ソレより何より。
・・・・・・・・・・・・顔が近い。



「あのー・・・すみません。」


は、未だに寝転がる自分に、その麗しい顔を近づけて、
こんな面白味も何もない顔を眺めている青い長髪の男に喋りかけた。


しかし、まだ返事は返ってこない。




「すいませ!痛!!!!!」


は痺れをきらし、その顔を目の前からどかそうと腕を前に突き出すと
身体全身に激痛が走った。



「まだ、動かすな。完全に治ってはおらぬ。」

「・・・え?」


私が痛みに顔を顰めていると、
さっきは声をかけても返ってこなかった声が上から降ってきた。
しかし、彼が言っていることを理解するのには数秒時間を要した。


「覚えておらんか?崖から落ちたではないか。」

「あ・・・」


そういえば。
記憶をたぐりよせると、確かに最後に見たのは
足場のない地面・・・つまり、崖だったかもしれない。

ということは、此処は崖の下なのか?

そう思って視線を男からそのまま上へ上げるが、今はもう真夜中のようで、
遠くの方でまたたく星が一つ二つしか見えなかった。
しかし、寝転んだ自分の頭上に壁があるということは、
やはりここは崖の下なのであろう。



・・・ここで、はたと気がつく。



上が見えないくらい真っ暗なのに、この男の人ははっきり見える・・・?





「一応、応急処置はしておいた。」


男の姿がはっきりと光って見えることに怪訝な顔をしただったが、
男はそんなの表情を違うように捉えたようだ。

まだ、私が、気がついてもいないことを言ってくれた。


応急処置。


そう、身体に激痛は感じるものの、血はまったく出ておらず、
服は崖から落ちたせいでそうなったのであろう、破れているところが多々あるのに、
自身には腕にかすり傷を一つ、見つけることができたくらいだ。




「・・・誰?」


私はもう一度問うた。
どうやってかは知らないが怪我を治してくれたのだ。悪い人ではないだろう。
しかし、人間離れした応急処置の仕方と、
こんなに青白く光っている人が普通な人の訳がない。


「・・・・・・・・・・蒼馬・・・と人は呼ぶか。」



「・・・!」


青い髪と目の男は面倒くさそうな顔をし、ぼそりとつぶやいた。




蒼馬。

聞いたことがある。何だっけ。




「蒼馬、という妖怪はご存知でしょうか?」
「全身が真っ青の馬です。
次元も時間も関係なく走り回るという言い伝えがあります。」
「蒼馬に触ると、人間の身体は蒼馬の時間の流れについて行けなくて
消えてなくなると聞きました。」




・・・もしかして諸葛亮さんが言っていた、あの、「真っ青な馬の妖怪」の「蒼馬」?
しかし、目の前にいるのは、人の形をしている。馬ではない。

確かに、人間離れしたところはあり、髪も目も青いのだが。

ちゃんと、中国っぽい白いヒラヒラした服も着ているし、
どう見ても四本足で歩いているようには見えない。






「息子が勝手なことをしたようでな。」

「・・・息子?」


しかし、目の前の男は混乱した私を待ってはくれなかった。
勝手に話を進めていく。


「あぁ。息子を知っているだろう。王蒼と呼ばれているらしいが。」



・・・王蒼


・・・オウソウ


・・・おうそう






「えぇ!?」








チョット待て。
あの、青い目の「黒馬」が、目の前の人の形をした「蒼馬」の息子?

まさか、本当に、王蒼が・・・?











かなり重要なことをサラリと言ってのけるな、この男。



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更新遅くなりました!!
ぎ、ギリギリ一ヶ月以内に更新;


さぁて、そろそろ物語の真実へ入って参りましたが・・・伝わっているやらどうやら。
まだまだ、真実は語られます。
っていうか、これから語りばっかりになりそうorz
ヒロインさんも動けないし。
オリキャラもずどどんと登場しましたし。

・・・馬超さん空気だし。





08.08.31