「では、転んでしまったのですね。」

「はい・・・。」




*目が覚めたそこは*











目の前でくすくすと笑う青年は、非常にさわやかである。
反側だ。もろ好みだ。
髪の毛が金に染まっていて長さは肩まで、という今時な髪形をしていたって。
そんじょそこらのギャル男とはまったく違った雰囲気だし、
どう頑張ってもギャル男には見えない。


はそんな彼にドキドキしつつ、ベッド(の様なもの)に座りなおした。


「具合はいかがですか?どうやら酷いお風邪のようで。」


彼が看病してくれたのだろうか。
生返事をしつつも、頭の中は疑問で一杯だった。





「それで、あの、ちょっとお聞きしてもいいでしょうか。」

は意を決して言った。
どんなにかっこよくって爽やかなイケてるメンズでも、知らない人は知らない人である。
何でこんなにかっこよくって爽やかなイケてるメンズが私の隣にいるのだ。
それらを知らなければいけない。


「はい?何でしょうか?」


あぁ、爽やか。
・・・・じゃなくって。


「えと・・・、此処はいったい何処なのでしょうか?
それに、何で私此処に居るのでしょうか?
ちょっと申し訳ないのですが・・・・まったく経緯がわからないのです。」


ちょっぴり喉がチクリとしたし、頭もまだ上手く働かないが、このままで居る訳にはいかない。
返答が少し怖かったは、少し目を泳がせた。


「えーっと・・・此処は従兄上・・・失礼、馬超殿の邸なのですが、ご存知でしょうか?」


(場長さん??偉い人なのかな。知らない。
・・・ちょっと無双の馬超と発音一緒で・・・いいな!)


はふるふると首を横にふり、知らないと意思表示したが、
悲しいかな、ゲーム「無双」大好き人間であるは、
心の中では筋違いなことを考えていた。



「ご存知ないですか?そうですね・・・あなたは馬超殿に連れて来られたので
知っておられるかと思ったのですが。
すみませんが、私もあなたが此処にいらっしゃった経緯はあまり知らないのです。
ただ、ずぶ濡れで気を失っていらっしゃった彼方を、従兄上が連れて来られたので。
失礼、自己紹介がまだでしたね。私は馬岱と申します。」

「あ、申し遅れまして、私は・・・と申します。・・・・・・・・・・・え、ばたい・・・さん?」


場長さんに場代さん・・・・・・・・・。
偶然にしては恐ろしい。
まさかこの二人の名前は姓ではなくて名の方なのか?
そしてこの兄弟の親は三国志ファンか?
そうだ。そうに違いない。
最近、子供の名前図鑑で「劉備」というのも見た事がある。
そんな名前はどうかと思うぞ。日本人にしては変だ。
・・・・・・・・・・・じゃなくて!


「はい、馬岱・・・ですが?え、・・・殿?あれ、は字か何かですか?」


「・・・・・・・。」


「・・・・・・・。」



二人はシンと静まり返った。
オカシイ。
何か噛み合っていない。
そもそも。


「え?あだな?」

「あだな?違います、字(あざな)です。」

「・・・・。」


待て。ちょっと待て。
これは幻聴か?
今頭がぼうっとしているからな。
そうだ。そうなんだきっと。
いけないいけない。自分の妄想に引きずり込まれるところだった。
字、なんて。無双の世界じゃあるまいし。


「あの?どうしましたか?」

「え、あ。すみません、呆けてしまいました。えと、は名前ですが。」


はもう頭がこんがらがってきた。
ここはまだ夢の中なのか。


「・・・とりあえず、従兄上呼んできますね。」


馬岱という、かっこよくって爽やか(以下省略)はちょっと首をかしげたが、
一先ず一番状況を解っているであろう馬超を呼んでくることにし、席を立った。





そのあと、その「あにうえ」が来るまで一人で悶々としていただが、
わからないことはわからない。
状況が良くなることは無かったのだった。




















「俺は知らんぞ。」


「は?」


部屋に素っ頓狂な声が響いた。
その素っ頓狂な声の主は、爽やか青年・馬岱。


「だから、何にも知らんと言っている。雨宿りしている所、こいつに出くわしただけだ。」


さっきから場代さん(違う)と喋っているのが、兄上の場長さん(違う)らしい。
この兄上さんも場代さんと一緒で髪の毛が金や銀に近い薄い色。
なかなかかっこいいお兄さんだ。
しかし、さっきからの態度が少し尊大でむかっとする。
そりゃあ、場代さんのお兄さんだから仕方ないんだけど。(ちょっと違う)




「おい、お前。」

「はい!?」


さっきまで場代さんと喋っていたお兄さんがいきなりこっちに話をふってきた。
すみません。きいていませんでした。


「お前、何があって馬に乗せられていた?」

「・・・?」

「覚えてないか?俺がお前を見つけた時、馬の上に倒れていたんだ。」


お前お前と連呼する馬超に少しむかっとしただったが、そこは初めて会った人である。
言い返したり等はしなかった。
しかし、馬の上?
は身に覚えのない事に首を傾げた。


「馬、ですか?」

「そうだ。真っ黒な身体で目が青い。」

「目が青い馬なんて珍し・・・・・・・・あ。」


馬なんて殆どテレビの中の生き物だったので、暫く思い出せなかったのだが。
真っ黒な身体と青い目で思い出した。
・・・ちょっと思い出したくもなかった。



「何か思い出したか?」

「あ、はい、まぁ。」

「宜しければ話してくださいませんか?」

今度は馬岱も興味有りげに聞いてきた。


思い出した事は馬との出会いの他に、此処に来た経緯だった。
もちろん、頭は混乱も混乱、大混乱であるが、話さない訳にもいかない。

馬岱さんに聞かれたらしょうがない。
・・・とが思ったかは定かではないが、
「そうですね、」と呟いた後、ゆっくりと語りだした。












あれは何時もと同じ、本当に平凡な日。












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まだまだ馬超さんと馬岱さんということには気がついておりません。
怪しんでいるだけです。

次はトリップしてきた時のことですね〜。


まだまだ解説したくなる駄目な感じの文章。


08.04.15