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それは、日課の。







*銀色と蒼と*








「よう、王蒼。」


もう夜遅く。

黄色く光る明るい月の下で、橙色の光が燃える。




此処は、厩。




今日の昼下がりに馬超とがいたところだ。
昼には馬の嘶きや足を踏み鳴らす音が聞こえたものの、
今はシンと静まり返っている。
そして、今そこにいるのは、軽い部屋着のようなものを着崩した銀色の髪の彼。

馬超である。




何故こんな遅くに彼は此処にいるのか。




それは、王蒼が寂しそう。そんな気がしたから。
それだけだった。
しかし、こんなに遅くに厩に来るのも、・・・王蒼が
此処に来てからの日課となっていた。











「今日は、やっとに会えたな。」


馬超はふっと笑って王蒼の背を撫でる。
王蒼も毎夜のことながら、嬉しそうに擦り寄ってくる。





“王蒼が寂しそう。”

それは何故か。





理由は簡単。
王蒼は只、に会いたかった。
彼女は彼が連れてきたのだ。
何かしら思うところがあるのだろう。




邸では呆れるくらい歩き回るだったが、厩だけには近寄らなかった。




それは、単に馬へのトラウマか。
それとも。
また、どこかへ連れ出されるのを怖がったのか。

気まぐれに馬に乗ったらいきなり走り出し、知らない所へ着いたのだ。
本人に自覚がなくても、心の底ではそれが怖かったのかもしれない。




そして、俺も怖かった。
がどこかへ行ってしまうのが。


が厩に近づかないのを良いことに、俺は故意に王蒼と会わそうとはしなかった。



「でも、今日会ってみて、お前もも嬉しそうだったな。」


まるで、姉弟のようにじゃれ合っていた。

どこかへ行ってしまうかもしれない。
それは杞憂だったのか?









何故、10年前に俺の元から出て行って、
今になってを連れて王蒼は帰ってきたのか。
何処へ行って、何処から彼女を連れて来たのか。

それをこいつに問うても答えは返ってこない。
只、俺をその青い目でじっと見るだけ。


明日は軍師殿のところに行くが、
はっきり言って、俺はそれも怖いのだ。
何かが解って、が傍から居なくなるのが。
それでも俺は聞かねばなるまい。


は、まだ何か隠している。


彼女を間者か何かなんて、そんな馬鹿らしい考えはない。
只、隠している彼女が、とても苦しそうな顔をするから。
無理矢理にでも聞いてやりたい。
そう思うのだ。





それが、どんなもので。





それが彼女との別れにつながろうとも。












俺の傍で、苦しい顔はしないでくれ。








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しんみり・・・。

馬超さんは馬超さんで悩んでおります。


・・・毎晩馬と逢引・・・w(王蒼はオスです。)



失礼しやしたーー!

08.05.15